5GC教科書¶
世界最高品質の無料 5G Core オンライン教材
このサイトのゴールは「仕様書を要約すること」ではありません。 あなたが 5G Core Network(5GC)を 本当に理解し、自分の言葉で説明でき、実務で使えるようになること を最優先にした教科書です。
更新履歴
- 2026-10-18NEWLevel ∞ マニアックに11章を追加: CM-IDLE / CM-CONNECTED と Service Request、PDR / PDI / F-TEID、QoS Flow / QFI / 5QI ほか8件
- 2026-10-18UPDATELevel ∞ の NG Setup・Tracking Area・PDU Session 深掘り ほか1件
- 2026-10-18FIX新章との整合で既存ページを修正(N3のQFI付与主体、N33のHTTPバージョン、BSFのBinding key、SCPとDiscoveryの関係、T3512の起動条件 ほか)
- 2026-10-02NEWLevel ∞ マニアックに PDU Session Establishment 深掘り と PFCP / PDR / FAR / QER / URR を追加
- 2026-09-30NEWLevel ∞ マニアックに Tracking Area / TAI / Registration Area を追加
- 2026-09-26NEWLevel ∞ マニアックに NG Setup Procedure を追加
なぜこのサイトを作ったのか(Why)¶
3GPP仕様書(TS 23.501 / TS 23.502 / TS 24.501 など)は正確ですが、初めて読む人にはとても難解です。用語が前提知識なしに登場し、「なぜそうなっているのか」がほとんど書かれていません。
一方、世の中の入門記事は分かりやすい代わりに、仕様の裏付けが弱く、実務でそのまま使うと誤解を生みます。
そこでこのサイトは、両者の良いとこ取りを目指します。
- わかりやすさ … 図・表・例え話・短い段落。初心者でも読める。
- 正確さ … 3GPP/RFC/ETSI/GSMA 等の公開仕様に基づき、参照は TS番号 + 章番号 まで明記。仕様に無い話は「実装依存」と明記。
すべての説明を Why(なぜ)→ What(何か)→ How(どうやって) の順で組み立てます。
このサイトを読むと何ができるようになるか(What)¶
| できるようになること | 具体例 |
|---|---|
| 5GCを説明できる | AMF/SMF/UPF/AUSF/UDM などの役割を、人に説明できる |
| 3GPP仕様を読める | TS 23.501/23.502/24.501 を「どこに何が書いてあるか」わかる |
| Wireshark解析ができる | NGAP/NAS/PFCP/HTTP2 のパケットを読み解ける |
| Call Flowを理解できる | Registration や PDU Session Establishment の手順を追える |
| 障害解析ができる | どのNF・どのメッセージで失敗したかを切り分けられる |
| 設計ができる | SBA/Slice/QoS を要件から設計する勘所がわかる |
| ベンダー差異を理解できる | 「仕様」と「実装依存」を区別できる |
対象読者¶
このサイトは、次のような幅広い読者を想定しています。
- 学生 … 通信ネットワークをこれから学ぶ人
- 新入社員 … 通信業界(telecom)に入ったばかりの人
- 通信エンジニア(telecom engineer) … ネットワーク全般の経験はあるがコアは初めての人
- 4G EPC経験者 … EPCの知識を5GCへ橋渡ししたい人
- 5GC開発者 … NFを実装・結合する人
- 運用/検証担当者 … 障害解析・試験を行う人
初心者でも読めるように、専門用語は必ずその場で説明します。
学習の始め方(How)¶
読者のレベルに合わせて、次の入口を選んでください。
初心者の方(5GCの全体像から)
Level 1(5GC概要) から順に進むのがおすすめです。 まずは モバイルネットワーク概要(LTEまで) を読み、 続けて 5GC概要とSBA へ進むと全体像がつかめます。
経験者の方(4G EPC経験者・NWエンジニア)
下の「学習ロードマップ」で自分の位置を確認し、 手を動かして理解したい人は、各Levelのトピックから Registration(初回登録) や Handover(ハンドオーバー) など、 興味のある手順を選んでください。
学習ロードマップ(Level 1 → Level 5 + Level ∞)¶
Level 1(5GC概要)から Level 5(応用/最新)まで、前提知識が積み上がる順に並べた5段階のロードマップです。さらに、Traceを読むときに効く細部を3GPP節番号レベルで深掘りする Level ∞(マニアック) を、Level 2 以降の好きなタイミングで読めるように用意しています。初めての方は Level 1 から順に、経験者は必要なLevelから入ってください。
flowchart TD
L1["Level 1
5GC概要 / SBA / NF"] --> L2["Level 2
Registration / Auth / PDU Session"]
L2 --> L3["Level 3
Mobility / Handover / Interworking / QoS"]
L3 --> L4["Level 4
VoNR / Emergency / Slice / RedCap"]
L4 --> L5["Level 5
Charging / Policy / NWDAF / Roaming / Rel17-18"]
L2 -.-> LM["Level ∞
識別子 / PFCP / QoS / Policy / SBI 深掘り"]
L1 -.- L1t["Mobile Network / LTE / Interface"]
L2 -.- L2t["Security / セッション確立"]
L3 -.- L3t["Idle / Connected / N26 / QoS"]
L4 -.- L4t["Network Slice / 音声 / Fallback"]
L5 -.- L5t["CAPIF / NEF / Analytics"]
-
モバイルネットワークの全体像と、5GCの土台となるアーキテクチャ(SBA)を理解する
前提: なし(ここが出発点)
-
Level 2 — 基本手順(Registration / セッション)
UEがネットワークに登録し、通信路(PDU Session)を確立するまでの基本手順を、Call Flowで追えるようになる
前提: Level 1
-
UEが移動しても通信が途切れない仕組み(Mobility/Handover)と、5G QoSモデルを理解する
前提: Level 2
-
音声・緊急通報・ネットワークスライス等の主要サービスと、RedCap等のデバイス種別を理解する
前提: Level 2。加えて、音声(VoNR/Emergency)は Level 3(モビリティ)の理解も推奨
-
課金・ポリシー・データ分析・ローミング等の応用領域と、Rel-17/18の最新機能を俯瞰する
前提: Level 1〜4(トピックにより異なる)
-
識別子やAMF選択など、Traceを読むときに効いてくる細部を3GPP節番号レベルで深掘りする
前提: Level 2 以上(トピックにより異なる)
Level 1 — 5GC概要¶
- モバイルネットワーク概要(LTE/EPCまで)
- 5GC概要とSBA(Service-Based Architecture)
- Network Function(NF)総論
- Interface / Protocol 総論
このLevelの進め方
4G/LTE の地図(モバイルネットワーク概要)から入り、5GC概要とSBA で 5GC の設計思想をつかみ、NF総論 と Interface / Protocol 総論 で構成部品を俯瞰する、という順がおすすめです。個別の NF・参照点は各詳細ページと辞典で深掘りできます。
Interface / Protocol の補足
N1(UE⇔AMF、NASを運ぶ論理的な参照点)/N2 は制御プレーン、N3(gNB–UPF)/N6(UPF–DN)はユーザプレーン、N4 は SMF–UPF 間(PFCP)です。 NFどうしが連携する SBI(Service-Based Interface、Namf/Nsmf/Nudm 等のサービスベースIF) が別途存在します(SBA/参照点モデルは TS 23.501 §4、SBI の HTTP/2 利用は TS 29.500 §5.2)。 ユーザプレーンのパケットは GTP-U でカプセル化され N3 上を運ばれます(TS 29.281、TS 23.501 §8.3)。
Level 2 — 基本手順(Registration / セッション)¶
- Registration(初回登録)
- Authentication(認証)
- Security(セキュリティ)
- PDU Session(PDUセッション確立)
- PDU Session Modification / Release(変更・解放)
このLevelの進め方
まず Registration(初回登録) で UE がネットワークに登録するまでを追い、続く認証・セキュリティ・PDU Session へ進むと、通信路が開くまでの一連の流れがつながります。各章に Call Flow図・Wireshark実例・理解度チェックがあります。QoS(5G QoSモデル)は Level 3 に配置しています。
認証とセキュリティの関係
Authentication(5G-AKA / EAP-AKA') と NAS/AS Security(鍵階層・暗号化・完全性保護) は別トピックですが、実際には Registration 手続きの中で Authentication → NAS Security Mode Control と連続して実行されます(TS 23.502 §4.2.2.2.2)。既に有効な 5G security context があれば認証が省略される場合があります(要確認)。加入者識別子は SUPI をそのまま送らず、公開鍵で秘匿した SUCI として送信されます(TS 33.501 §6.12 / Annex C、要確認)。
Level 3 — モビリティ(Mobility)・QoS¶
- Paging(ページング)
- Service Request(サービスリクエスト)
- RRC Resume / Small Data(軽量復帰)
- Mobility Registration Update(モビリティ登録更新)
- Periodic Registration Update(周期登録更新)
- Handover(ハンドオーバー)
- 4G-5G Interworking(N26 / 4G EPCとの相互接続)
- QoS(5G QoSモデル)
このLevelの進め方
まず Paging で「移動しても呼び出せる」仕組みをつかみ、Service Request / RRC Resume や登録更新系(Mobility / Periodic)へ広げます。続いて Handover で「移動しても切れない」仕組みを押さえ、その延長として 4G-5G Interworking(N26・EPS Fallback)へ進むと自然です。最後に QoS で 5G QoSモデルを整理します。ネットワークスライスは Level 4 の Network Slicing で扱います。
EPS Fallback とは
音声着発信時に UE を一時的に 4G(EPS)へ落として音声を成立させる EPS Fallback の手続きは TS 23.502 §4.13.6.1(枝番は 要確認)に規定されています。VoNR 未提供エリアでの音声成立手段として広く採用されていますが、適用可否はオペレータのポリシー・展開方針に依存します(実装依存)。
Level 4 — サービス/デバイス種別¶
- VoNR(Voice over NR)
- Emergency(緊急通報)
- EPS Fallback(5G→4Gへ切り替えて音声を成立)
- Emergency Fallback(Emergency Services Fallback / 緊急通報を4G/E-UTRAへ移して成立)
- SMS(Short Message Service)
- Network Slicing(ネットワークスライシング)
- RedCap(Reduced Capability, Rel-17)
このLevelの進め方
音声系(VoNR / Emergency / EPS Fallback / Emergency Fallback)は関連が深いのでまとめて読むと理解が進みます。VoNR が使えないときに一般音声を 4G へ落とすのが EPS Fallback、UEの緊急サービス要求を契機に緊急呼を 4G/E-UTRA へ移すのが Emergency Fallback です。制御プレーンで運ぶ SMS、用途別の論理ネットワークを扱う Network Slicing、デバイスカテゴリの RedCap は独立して読めます。
VoNR / Emergency は IMS 前提
VoNR と Emergency(音声)は IMS(IP Multimedia Subsystem) を前提とし、音声は QoS Flow と結びつきます(5QI=1: 会話音声、5QI=5: IMSシグナリング。TS 23.501 §5.7.4 標準化5QI表)。VoNRが使えないエリアでは EPS Fallback で音声を成立させます。
RedCap はサービスではなくデバイスカテゴリ
RedCap は SMS/VoNR のような 5GC が提供するサービスではなく、UE能力を削減したデバイスカテゴリ(Reduced Capability, Rel-17) です。低コスト・低消費電力の中位IoT向けに、帯域幅やアンテナ数などのUE能力を意図的に絞った端末種別を指します(UE能力の詳細は RAN側仕様 TS 38.306 / TR 38.875。RedCap章 参照)。
Level 5 — 応用 / 最新リリース¶
- Charging(課金)
- Policy(ポリシー制御 / PCF)
- NWDAF(データ分析 / Analytics)
- Roaming(ローミング / SEPP・N32)
- Location Service(LCS / GMLC・LMF)
- NEF・CAPIF(ネットワーク能力公開)
- Security応用(5GCセキュリティ応用)
- Rel-17 & Rel-18(5G-Advanced)
このLevelの進め方
応用領域は独立性が高いので、興味のあるトピックから読めます。課金・ポリシーは Charging / Policy、データ分析は NWDAF、事業者間連携は Roaming、外部公開は NEF・CAPIF、最新機能は Rel-17 & Rel-18、測位は Location Service が入口です。
Analytics と NWDAF の関係
Analytics(データ分析)と NWDAF は別項目に見えますが、NWDAF(Network Data Analytics Function)は Analytics を担う NF そのものであり、他NFへ分析結果を提供するサービスベースIF Nnwdaf を公開します(TS 23.288)。詳細は NWDAF章 を参照してください。
Level ∞ — マニアック¶
識別子・N2確立・登録・接続状態
- SUPI / SUCI / 5G-GUTI(UEの識別子)
- GUAMI / AMF Region / Set / Pointer(AMFの識別と選択)
- NG Setup Procedure(gNBとAMFのN2確立)
- Tracking Area / TAI / Registration Area(UEの位置管理)
- CM-IDLE / CM-CONNECTED と Service Request(接続状態の管理)
セッション・UPF
- PDU Session Establishment 深掘り(N1 SM / N2 SM / N3 / N4 の連携)
- PFCP / PDR / FAR / QER / URR(UPFのパケット処理ルール)
- PDR / PDI / F-TEID / SDF Filter / Precedence(UPFのパケット判定)
QoS制御
ポリシー・外部公開
- PCF / SM Policy Association / PCC Rule(Policyの流れ)
- N7 SBI解析(URI / HTTP/2 / ProblemDetails)
- AF / N5 / Application Session(アプリ要求からQoS Flowへ)
- NEF / N33 / Event Exposure(外部AFへの公開)
- BSF / PCF Binding(SessionのPCFを見つける)
SBI・冗長構成
- NF Set / Binding Indication / SCP Routing(PCF冗長と継続性)
- SBI Communication Model A〜D / SCP(DiscoveryとRouting)