コンテンツにスキップ

Identifier辞典(Identifier)

UE・加入者・NF・スライスを識別する 5GC の主要識別子を、意味・構成・使われ方で引くための辞典です。

関連: NF辞典 / Security辞典 / Registration章


Identifier一覧

識別子 正式名称 何を識別するか 構成/特徴 主な用途 Spec
SUPI Subscription Permanent Identifier 加入者(契約)を恒久的に識別 IMSI形式またはNAI形式。恒久識別子のためエア区間で平文送信しない コア内での加入者特定 TS 23.003 / TS 23.501
SUCI Subscription Concealed Identifier 秘匿化されたSUPI(一時形式) SUPIを公開鍵暗号で秘匿した形式。初回登録時にエア区間で送るのはSUCI、UDM内のSIDFが復号してSUPIを取得 加入者IDのプライバシー保護 TS 33.501 / TS 23.003
5G-GUTI 5G Globally Unique Temporary Identity UEを一時的に識別 GUAMI + 5G-TMSI で構成。IMSI/SUPIの露出を避け以後の識別に用いる 登録後のUE識別・ページング TS 23.003
GUAMI Globally Unique AMF Identifier サービングAMFを一意に特定 PLMN ID + AMF Region ID / AMF Set ID / AMF Pointer AMFの特定・5G-GUTIの一部 TS 23.003
5G-TMSI 5G Temporary Mobile Subscription Identifier 5G-GUTI内のUE一時識別部 5G-GUTIの末尾部分。UEを一時的に指す 一時UE識別 TS 23.003
PEI Permanent Equipment Identifier 端末(ME)を恒久的に識別 通常はIMEIまたはIMEISV 端末個体の識別 TS 23.003
GPSI Generic Public Subscription Identifier 外部公開用の加入者識別子 MSISDN等の外部識別形式 NEF/AF連携など外部公開での加入者参照 TS 23.003
S-NSSAI Single Network Slice Selection Assistance Information 単一のネットワークスライスを識別 SST(必須)+ SD(任意)で構成 スライス選択・識別 TS 23.003 / TS 23.501
NSSAI Network Slice Selection Assistance Information スライス選択情報の集合 S-NSSAIの集合。Requested/Allowed/Configured等の種別あり スライス選択(詳細はNetwork Slicing TS 23.501
DNN Data Network Name 接続先データ網を識別 4GのAPNに相当する名称 PDUセッションの接続先網指定 TS 23.003
NF Instance ID NF Instance ID NF個体を一意に識別 NF個体ごとの一意な識別子 NRFへの登録・NF Discovery TS 29.510(要確認: 章番号)
AMF UE NGAP ID / RAN UE NGAP ID AMF/RAN UE NGAP ID N2上でUEを識別するID対 AMF側・RAN側それぞれが割当てるNGAP ID N2(NGAP)上のUE-associated signalling TS 38.413

(ビット長・桁数など断定しづらい細部は概念記述に留め、必要に応じて「要確認」とする)


SUPI/SUCIとプライバシー

恒久識別子である SUPI をエア区間で平文送信しないため、初回は公開鍵で秘匿した SUCI を用い、ネットワーク側(UDM内のSIDF)で復号してSUPIを取得します。以後は一時識別子の 5G-GUTI を用いることで、恒久IDの露出を最小化します。詳細は Security辞典 / Authentication章 を参照してください。


図解1: 5G-GUTI の入れ子構造

5G-GUTI は複数の識別子が入れ子になって構成されます。上表の「構成/特徴」列(5G-GUTI = GUAMI + 5G-TMSI、GUAMI = PLMN ID + AMF Region ID + AMF Set ID + AMF Pointer)を図にすると、どの部分が「網・AMFを指す」か/「UEを指す」かが一目で分かります。

flowchart TB
    GUTI["5G-GUTI
(登録後のUE一時識別子)"] subgraph L1[" "] direction LR GUAMI["GUAMI
サービングAMFを一意に特定"] TMSI["5G-TMSI
そのAMF配下でUEを一時識別"] end subgraph L2["GUAMI の内訳"] direction LR PLMN["PLMN ID
(事業者網)"] REG["AMF Region ID
(地域)"] SET["AMF Set ID
(AMF群)"] PTR["AMF Pointer
(個別AMF)"] end GUTI --> GUAMI GUTI --> TMSI GUAMI --> PLMN GUAMI --> REG GUAMI --> SET GUAMI --> PTR classDef net fill:#eef,stroke:#66a; classDef ue fill:#efe,stroke:#3a3; class GUAMI,PLMN,REG,SET,PTR net; class TMSI ue;

図の読み方

青系(GUAMI とその内訳)は「どの網・どの AMF か」を指す部分、緑系(5G-TMSI)は「その AMF 配下でどの UE か」を指す部分です。つまり 5G-GUTI は「AMF の住所(GUAMI)+ その中での UE の番号(5G-TMSI)」という構造で、この設計により 恒久識別子(SUPI)を露出せずに、ページングや以後の識別で UE を正しく特定できます。各フィールドのビット長は TS 23.003 を参照してください(本図は構造の概念表現)。

図解2: SUPI → SUCI → 5G-GUTI の変換フロー

同じ UE を指す識別子が、プライバシー保護のために場面ごとに姿を変える流れです。恒久ID(SUPI)の露出を最小化するのが狙いです。

sequenceDiagram
    autonumber
    participant UE
    participant AMF as AMF/SEAF
    participant UDM as UDM (SIDF)

    Note over UE: 恒久ID = SUPI(エア区間で平文送信しない)
    UE->>UE: SUPI を公開鍵で秘匿 → SUCI を生成
    UE->>AMF: 初回登録: SUCI を送信(エア区間)
    AMF->>UDM: SUCI を渡す
    UDM->>UDM: SIDF が秘密鍵で復号 → SUPI 復元
    UDM-->>AMF: SUPI(コア内でのみ使用)
    Note over AMF: 登録成立後、AMF が 5G-GUTI を割当て
    AMF-->>UE: 5G-GUTI を払い出し
    Note over UE,AMF: 以後の識別・ページングは 5G-GUTI を使用
(SUPI はエア区間に出さない)

図の読み方

SUPI(恒久ID)はエア区間に出さず、UE 側で公開鍵により SUCI(秘匿形)へ変換して送ります。ネットワークでは UDM 内の SIDF だけが秘密鍵で復号して SUPI を得ます。登録が済むと AMF が一時IDの 5G-GUTI を払い出し、以後の識別・ページングはこれを使います。これにより恒久ID(SUPI)の露出が最小化されます。詳細は Authentication章 / Security辞典 を参照してください。