コンテンツにスキップ

N22 — AMF ⇔ NSSF(Nnssf_NSSelection 参照点)

難易度: 中級 / 想定学習時間: 15分 / 接続点: AMF ⇔ NSSF / Protocol: HTTP/2 + JSON (SBI) / 関連Interface: N8, N11, N12

学習目標

このページを読み終えると、次のことができるようになります。

  • N22が SBI(Service Based Interface) であり、N2(NGAP/SCTP)やN4(PFCP/UDP)とはProtocol/Transportが根本的に異なることを説明できる。
  • N22の実体がNSSFの提供するサービス Nnssf_NSSelection(TS 29.531) であることを説明できる。
  • AMFが自力でスライス選択を解決できないとき、NSSFへスライス選択支援を要求し、Allowed NSSAI や適切な AMF候補(AMF Set) を得る流れを説明できる。
  • 「参照点N22」と「サービスNnssf_NSSelection」が同じものの2つの見方であることを説明できる。
  • 4G(EPC)には標準化されたスライス選択の相当機能が無い(DECOR/eDECORが前身的発想)ことを説明できる(要確認)。

前提知識

先に以下を理解しておくとスムーズです。

Why — なぜ必要なのか

UEがネットワークに登録する際、端末は「どのスライス(S-NSSAI)を使いたいか」を Requested NSSAI として提示します。AMFはこれを受け取り、加入情報や網構成と突き合わせて「この端末に実際に許可するスライス(Allowed NSSAI)」を決め、さらに「自分(このAMF)がそのスライス群を担当できる適切なAMFか」を判断しなければなりません。

しかし、スライス構成は網全体にまたがる情報(どのスライスがどのエリア・どのAMF Setで提供されるか等)であり、AMF単独では解決しきれない場合があります。そこで、スライス選択の元締めである NSSF に「この端末のRequested NSSAIと加入情報から、Allowed NSSAIと適切なAMFは何か?」と問い合わせる道が要ります。これがN22です。AMFはN22でNSSFにスライス選択の支援を求め、NSSFは網構成・加入情報から Allowed NSSAI候補AMF Set を返します。N22が無ければ(またはNSSF連携しなければ)、AMFはローカル構成の範囲でしかスライス選択できず、網規模のきめ細かいスライス選択・適切なAMF再選択ができません。

例え話: N22は、総合受付(AMF)が案内デスク(NSSF)に「この客はどの専門窓口=スライスへ通すべき?」を問い合わせる回線です。受付は自分の手元情報だけで判断しきれないとき、この専用回線で案内デスクに尋ね、回答(Allowed NSSAIや担当窓口の割り当て)に従って客を通します。

Overview — 概要

N22は AMF ⇔ NSSF を結ぶ参照点です。ただしN22はSBI(Service Based Interface)である点が、N2(NGAP/SCTP)やN4(PFCP/UDP)と決定的に異なります。SBIとはNF同士がWeb API(HTTP)でサービスを呼び合う仕組みで、共通の転送として HTTP/2 + JSON(RESTful)over TLS を用います。

N22の実体は、NSSFが提供するサービス Nnssf_NSSelection(TS 29.531) です。AMFはこのサービスを呼び出して、Requested NSSAI・加入情報・網構成に基づく Allowed NSSAI や、適切な AMF Set/候補AMF の情報を取得します。スライス選択の判断ロジックそのものはNSSF側に集約され、AMFは支援要求と結果適用を担います。

参照点N22とサービスNnssf_NSSelectionは同じものの2つの見方

3GPPのアーキテクチャ図では 参照点として N22(AMF⇔NSSF) が示されますが、SBA(サービス化)ではこれが実体として NSSFのサービス Nnssf_NSSelection として実装されます。つまり「N22」と「Nnssf_NSSelection」は、同じAMF⇔NSSF間の連携を、参照点の視点/サービスの視点で見たものです。どちらも指しているものは同一で、呼び方(視点)が違うだけ、と捉えてください。

Basic Concept — 初心者向け説明

N22を、総合受付と案内デスクの問い合わせに例えます。

あなたのスマホがネットワークに登録しようとすると、登録担当のAMFが動きます。UEは「このスライス(S-NSSAI)を使いたい」という希望(Requested NSSAI)を提示します。AMFはまず自分の手元情報(ローカル構成・加入情報)で「許可していいスライス(Allowed NSSAI)」を決めようとします。ところが、スライス構成は網全体の情報が絡むため、AMFだけでは決めきれないことがあります。

そのときAMFは、スライス選択の案内デスクであるNSSFに問い合わせます。NSSFは網のスライス構成表と加入者情報を照らし合わせ、Allowed NSSAI(許可スライス一覧)や、必要なら「その客はこちらの窓口=別のAMFへ」という担当割り当て(候補AMF Set)を返します。AMFはこの回答に従い、場合によっては適切なAMFへ処理を引き継ぎます(AMF再選択)。

このNSSFへの問い合わせは、専用の電話回線(N2やN4のような専用プロトコル)ではなく、社内Webシステム(HTTP)でリクエストを投げて回答をもらうイメージです。これが SBI(Service Based Interface)=NF同士がWeb API(HTTP/2)で会話する仕組みです。要求も応答も、人間に読みやすい JSON という書式でやり取りされます。

Protocol / Transport

項目 内容
Protocol HTTP/2 + JSON(RESTful)— SBI(Service Based Interface)の共通スタック
サービス Nnssf_NSSelection(NSSFが提供)— TS 29.531
SBI framework TS 29.500 / TS 29.501 系(SBIの共通規約・OpenAPI定義)
下位Transport TCP、TLS で保護(機密性・完全性・認証)— TS 33.501
ポート SBIの待受ポートは実装依存(NRF登録のエンドポイントで解決)。特定番号は断定しない
特徴 専用L4プロトコルではなくWeb技術ベース。HTTPメソッド(GET/POST等)+リソースURIで操作。RESTful

N2/N4のような専用L4ではなくWeb技術ベース

N2は NGAP over SCTP:38412、N4は PFCP over UDP という専用の下位プロトコルを持ちますが、N22にはそれらは一切当てはまりません。N22はSBIなので、他のSBI(N8/N11/N12/N15 等)と同じく HTTP/2 over TLS を共通の土台として使います。したがってN22の解析にSCTP固有のフィルタやPFCP関連のポート番号を流用してはいけません。

Architecture

N22がAMFとNSSFを結び、AMFがN1でUE(Requested NSSAI)と、N8でUDM(加入NSSAI)とも連携する文脈を示します。

flowchart LR
  UE["UE"]
  AMF["AMF"]
  NSSF["NSSF (スライス選択支援)"]
  UDM["UDM"]

  UE -. "N1 (Requested NSSAI)" .- AMF
  AMF == "N22 (Nnssf_NSSelection)" ==> NSSF
  AMF -. "N8 (加入NSSAI)" .-> UDM

  classDef ctrl fill:#efe,stroke:#3a3,stroke-width:2px;
  class AMF,NSSF ctrl;

図の読み方: UEはN1でRequested NSSAI(使いたいスライス希望)をAMFへ提示します。AMFはこれと、N8経由でUDMから得た加入NSSAI(許可されうるスライス)を突き合わせ、Allowed NSSAIを決めようとします。ローカルで解決しきれないときに、太い線(==>)のN22でNSSFへスライス選択支援を要求し、NSSFがAllowed NSSAIや候補AMFを返します。N22は「スライス選択を決めるための問い合わせ」の回線である点に注目してください。

利用Procedure

N22は主に Registration(登録) 手続きの中で、AMFがスライス選択を自力で解決できないときに使われます。

  • スライス選択支援の要求(Registration中): UEのRequested NSSAIと加入情報(加入NSSAI)をAMFが突き合わせ、Allowed NSSAIの決定やサービングAMFの適否をローカルで確定できない場合、AMFが Nnssf_NSSelection_Get(概念上のオペレーション、名称・方式は要確認)でNSSFへ支援を要求する。
  • 結果の取得と適用: NSSFはRequested NSSAI・加入情報・網構成から Allowed NSSAI や適切な AMF Set/候補AMF を返す。AMFはこれをUEへの登録応答に反映し、必要に応じて AMF再選択(別のAMFへの処理引き継ぎ)を行う。
  • 網スライス可用性の連携(付随): NSSFはAMF等から網のスライス可用性情報の更新・通知を受け取り、選択判断に用いる場合がある(詳細・方向は要確認)。

このNSSF連携は条件付きで、AMFが自力でスライス選択を解決できるときには行われません(構成依存)。

手順の詳細な流れ(メッセージシーケンス、条件、NSSAIの各種IE、AMF再選択のトリガー等)は Network Slicing の記述に集約されています。スライス選択の細部はそちらを参照してください。

主なMessage

N22はSBIなので、メッセージはHTTPメソッド + リソース操作の形を取ります(NGAPのようなprocedureCodeではなくRESTful操作)。代表的なサービスオペレーションは次のとおりです。

サービスオペレーション HTTP操作(概念例) 用途
Nnssf_NSSelection_Get GET/POST(要確認) AMFがスライス選択支援を要求し、Allowed NSSAI・候補AMF Set等を取得
Nnssf_NSSAIAvailability_Update PUT/PATCH(要確認) AMF等が網のスライス可用性(S-NSSAI提供状況)をNSSFへ更新
Nnssf_NSSAIAvailability_Notify POST(NSSF→NF通知callback、要確認) スライス可用性の変化をNSSFから通知

HTTP操作の対応は概念整理です: 上表の「HTTP操作」は理解のための対応づけであり、各オペレーションの正確なメソッド・リソースURI・呼び出し方向はTS 29.531のOpenAPI定義に従います。厳密なメソッド割り当て・オペレーション名は要確認とします。各メッセージの詳細は Message辞典 を参照してください。

Packet Analysis (Wireshark)

N22はSBIなので、キャプチャ上は HTTP/2 として観測されます(NGAP/SCTPのようなL4専用プロトコルは現れません)。

目的 Display Filter
HTTP/2メッセージを抽出 http2
ヘッダのパスで絞る(概念) http2.headers.path:pathnnssf-nsselection を含む、要確認)
JSONボディを見る json(復号後)

Decodeの見どころ:

  • N22は TLSで暗号化されます。中身(HTTP/2ヘッダやJSONボディ)を見るには復号鍵(TLSセッションキー等)が必要です。鍵が無ければ tls の暗号化ペイロードとしてしか見えません。
  • 復号できれば、HTTP/2の ヘッダ:method:path.../nnssf-nsselection/... を含むリソースパス)でオペレーションを識別できます(パス表記は要確認)。
  • ボディは JSON(Requested NSSAI、Allowed NSSAI、候補AMF情報等)で、人間に読みやすい構造で入っています。
  • N2のNGAP(バイナリ、SCTP上)と違い、N22はWeb的(HTTP/JSON)である点が観察の要です。SCTP固有のフィルタ(sctp.port 等)は使いません

EPCとの比較

  • 4Gでは: 5Gのような標準化されたネットワークスライス選択(NSSF/N22相当)の機能はありません。UEを特定のコアネットワーク(専用ノード群)へ振り分ける発想としては DECOR / eDECOR(Dedicated Core Network) が前身的に存在しましたが、5Gスライス選択とは仕組みが異なります(対応関係は要確認)。
  • 5Gでは: スライス選択を担う専用NFとして NSSF が導入され、AMFがスライス選択を自力解決できないときに N22(Nnssf_NSSelection) で支援を求める枠組みが SBI化された形で標準化されました(TS 29.531)。
4G (EPC) 5G (5GC)
標準化スライス選択なし(DECOR/eDECORが前身的発想、要確認) N22(AMF ⇔ NSSF)
—(該当する専用IFなし) SBI: HTTP/2 + JSON over TLS
—(該当する専用サービス仕様なし) TS 29.531(Nnssf_NSSelection)
—(相当する専用NFなし) NSSF(スライス選択支援)

ネットワークスライシングは5Gで本格導入された概念です。4GのDECOR/eDECORは「専用コアへの振り分け」という点で発想の一部を共有しますが、5Gのスライス選択(NSSAI/NSSF/N22)とは別物として扱うのが安全です(要確認)。

3GPP Specification

  • 3GPP TS 29.531 — Nnssf_NSSelection サービス(ネットワークスライス選択、N22)。個別章番号は要確認
  • 3GPP TS 29.500 / TS 29.501 — SBI framework(技術規約 / 設計原則・OpenAPI)。個別章番号は要確認
  • 3GPP TS 23.501 §4 — システムアーキテクチャと参照点(N22の定義)/ §5.15 — ネットワークスライシング(NSSAI/Allowed NSSAI等)。章番号は要確認
  • 3GPP TS 33.501 — SBIのセキュリティ(TLS等)。個別章番号は要確認

注記(要確認): N22の実体が Nnssf_NSSelection(TS 29.531)であること、SBI共通framework が TS 29.500/29.501 系であること、参照点N22とサービスNnssfが同じ連携の2つの見方であることは、3GPPアーキテクチャの一般的整理です。各サービスオペレーション名・正確なリソースURI・HTTPメソッド割り当て・S-NSSAI/SSTの具体値・章番号の枝番は Release により差異があるため個別には要確認とします。

Summary

  • N22は AMF ⇔ NSSF を結ぶ参照点だが、SBI(Service Based Interface)である点がN2(NGAP/SCTP)・N4(PFCP/UDP)と根本的に異なる。
  • Protocolは HTTP/2 + JSON(RESTful)over TLS、実体はNSSFのサービス Nnssf_NSSelection(TS 29.531)
  • AMFが自力でスライス選択(Allowed NSSAI決定・サービングAMF適否)を解決できないとき、N22で NSSFへスライス選択支援を要求し、Allowed NSSAI や適切な AMF Set/候補AMF を得る。
  • 参照点N22 = サービスNnssf_NSSelection は同じAMF⇔NSSF連携の2つの見方(本サイトの参照点/サービスの二重性の考え方は NSSF と共通)。
  • 4Gには標準化されたスライス選択の相当機能はなく(DECOR/eDECORが前身的発想、要確認)、5Gで NSSF/N22 として SBI化された形で導入された。

Next Step

  • NSSF — N22の相手側。ネットワークスライス選択支援の中枢
  • AMF — N22を利用してAllowed NSSAI・候補AMFを取得し、必要ならAMF再選択を行うNF
  • Network Slicing — NSSAI/Allowed NSSAI・スライス選択手順の詳細(集約先)
  • N8 — AMFがUDMから加入NSSAI等の加入情報を取得する参照点
  • Interface辞典 — N11/N12 ほか参照点の確認