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SMF — Session Management Function

難易度: 中級 / 想定学習時間: 20分 / 関連NF: AMF, UPF, PCF, UDM, CHF / 関連Interface: N4, N7, N10, N11相当(Namf/Nsmf), N40

学習目標

このページを読み終えると、次のことができるようになります。

  • SMFが5GCで果たす役割(PDUセッション管理・UPF制御)を一言で説明できる。
  • SMFがどのInterface(N4/N7/N10/N11相当 ほか)を終端し、どのNFと連携するかを図示できる。
  • CUPS(制御プレーンSMFと転送プレーンUPFの分離)における「制御側」としてのSMFの位置づけを説明できる。
  • SMFがUPFをN4(PFCP)でどう制御し、IPアドレス割当やQoSをどう扱うかを説明できる。
  • PDU Session Establishment手続きの中でSMFがどう動くかの概要を説明できる(詳細はPDU Session章へ)。
  • 4G(EPC)のPGW-C/SGW-C(+MMEの一部)との対応関係を説明できる。

前提知識

先に以下を理解しておくとスムーズです。

この章で学べること

まずWhy(SMFが無いと何が困るか)から入り、What(SMFの役割・保持情報・API)を表とMermaid図で整理し、最後にHow(PDUセッション確立での登場、EPC比較、参照Spec)へと進みます。

本ページはSMFのNFとしての役割・SBIサービス・アーキ位置に焦点を当てます。PDU Session Establishment の手順の詳細(Call Flow、QoS Flow、N4/N3の2段確立など)は PDU Session Establishment に集約しているため、そちらへ誘導します。

「N11相当」という表記について

本サイトでは AMF⇔SMF 間を「N11相当(Namf/Nsmf)」と表記します。3GPPのアーキテクチャ図では参照点として N11 が示されますが、SBA(サービス化)ではこれが実体として Namf/Nsmf のSBIサービスとして実装されるためです(詳細は Interface節)。

Why — なぜ必要なのか

UEが登録(Registration)し認証(Authentication)を済ませても、それだけではユーザデータは流れません。実際にデータを通すには、UEからUPF(User Plane Function)を経由してDN(Data Network)へ抜ける論理的なパイプ(PDUセッション)を張り、維持し、いずれ解放する必要があります。このセッションのライフサイクルを一手に管理する専任のNFが必要です。これがSMFです。

もう一つの鍵がCUPS(Control and User Plane Separation、制御と転送の分離)です。5Gでは「セッションをどう張り、どう転送させるか」を決める制御(頭脳)と、実際にパケットを流す転送(土管)を明確に分けました。SMFが制御側(頭脳)、UPFが転送側(土管)です。SMFが無いと、UPFに「このパケットをこう転送しろ」と指示する主体がおらず、土管はただの空の管のままです。

例え話: SMFは工場の生産ライン管理者(ラインマネージャ)です。マネージャ自身がベルトコンベア(UPF)で物を運ぶわけではありませんが、「どのラインを立ち上げ、どの速度・優先度で流し、どこへ出荷するか」を決め、現場(UPF)に指示書(N4/PFCPのルール)を渡します。運ぶのは現場、決めるのはマネージャ、という指揮と実行の分業がCUPSです。

Overview — 概要

SMF(Session Management Function)は、PDUセッションのライフサイクル管理を担う制御プレーンのNFです。UEからのセッション管理NAS(SM NAS / 5GSM)をAMF経由で受け取って終端し、UPFの選択N4(PFCP)によるUPF制御UEへのIPアドレス割当PCFと連携したQoS/課金ポリシー(PCC: Policy and Charging Control)の適用を行います。CUPSにおける制御側であり、転送はUPFに委ねて「こう転送しろ」と指示することに徹します。

Basic Concept — 初心者向け説明

SMFを、旅行の手配担当(コーディネータ)に例えます。あなた(UE)が「目的地(DN)まで行きたい」と申し込む(PDUセッション要求)と、手配担当(SMF)が動き出します。まず契約内容(加入者データ)を人事窓口(UDM)に確認し、必要ならサービス品質のルール(QoS/課金ポリシー)を規約部門(PCF)に問い合わせます。そのうえでどの交通手段(どのUPF)を使うかを選び、あなたの座席番号(IPアドレス)を割り当て、運行会社(UPF)へ運行指示書(N4/PFCPのルール)を渡します。

ここで押さえるべきは、手配担当(SMF)は自分で運転はしないという点です。実際にパケットを運ぶのはUPF。SMFは「誰を・どこへ・どの品質で運ぶか」を決めて指示するだけ、という分業(CUPS)になっています。

SMFが管理する主なものは次の4つです。

  • PDUセッション … データを運ぶ論理パイプ。確立・変更・解放の全ライフサイクルを管理。
  • UPFの制御 … どのUPFを使うか選び、N4(PFCP)で転送ルールを設定。
  • IPアドレス … UEに割り当てるIP(PDUセッションごと)の管理。
  • QoS/課金ポリシー … PCFから受けたルール(PCC rule)をUPFへ落とし込む。

Network Function 詳細

項目 内容
役割 PDUセッションのライフサイクル管理(確立/変更/解放)。SM NAS(5GSM)の終端。UPF選択とN4(PFCP)によるUPF制御。UEへのIPアドレス割当。PCF連携によるQoS/課金ポリシー(PCC)適用。CUPSの制御側。
保持情報 SMコンテキスト(PDU Session ID, UE IPアドレス, (DNN, S-NSSAI), 選択UPF情報, QoS Flow(QFI/5QI), PCC rule, セッション状態 等)
利用する主なAPI(他NFへ呼ぶ) Nudm(SDM: セッション管理加入データ取得, UECM: 登録), Npcf(SMPolicyControl), Nnrf(Discovery: UPF/PCF選択支援), Nchf(課金 ※実装/構成依存)
提供するAPI(自分が公開) Nsmf(PDUSession, EventExposure 等)— 3GPP TS 29.502
制御するプロトコル N4上の PFCP(UPFへ PDR/FAR/QER 等の転送規則を設定)— 3GPP TS 29.244
関連Interface N4(UPF), N7(PCF), N10(UDM), N11相当(AMFとのNamf/Nsmf), N40(CHF ※任意/実装依存)
障害時の影響 PDUセッションの確立・変更・解放が不可となり、配下UEはデータ通信できない(重大)

SM NAS(5GSM)の終端について: UEのセッション管理メッセージ(PDU Session Establishment Request 等)は SM NAS(5GSM) で、MM NAS(5GMM)の中にネストされてN1を通ります。AMFはこのSM NASの中身を解釈せず、SMF選択(SMF selection)を行ってSMFへ中継します。SM NASを実際に終端・処理する主体はSMFです(根拠 TS 24.501 §6.4 / TS 23.502 §4.3.2.2。章番号は版により変動、要確認)。

Architecture

SMFは5GC制御プレーンでPDUセッション管理の司令塔として位置し、AMFから要求を受け、UPFを制御し、UDM/PCF/CHFと連携します。

flowchart LR
  AMF["AMF"]
  SMF["SMF"]
  UPF["UPF (転送)"]
  UDM["UDM"]
  PCF["PCF"]
  CHF["CHF (課金)"]
  DN[(Data Network)]

  AMF -- "N11相当 (Namf/Nsmf)" --> SMF
  SMF -- "N10 (Nudm)" --> UDM
  SMF -- "N7 (Npcf)" --> PCF
  SMF -- "N40 (Nchf) ※任意" -.-> CHF
  SMF == "N4 (PFCP)" ==> UPF
  UPF == "N6" ==> DN

図の読み方: SMFはAMFから(N11相当のNamf/Nsmf経由で)SM NASとセッション要求を受け取ります。UDM(N10)で加入データを、PCF(N7)でQoS/課金ポリシーを取得し、必要に応じてCHF(N40)へ課金連携します。そのうえでN4(PFCP)でUPFを制御(太線)し、UPFがN6でDNへパケットを転送します。SMFは制御に徹し、実データはUPF側(太線区間)を流れる点がCUPSの要です。

Interface

SMFが終端する主なInterfaceと役割です。

Interface 両端 Protocol 役割
N4 SMF ⇔ UPF PFCP(UDP) UPFへの転送規則設定(PDR/FAR/QER)。CUPSの制御↔転送インターフェース
N7 SMF ⇔ PCF SBI(Npcf) SMポリシー(PCC rule)・認可QoS・課金方針の取得
N10 SMF ⇔ UDM SBI(Nudm) セッション管理加入データ(許可DNN/S-NSSAI 等)取得・UECM登録
N11相当 AMF ⇔ SMF SBI(Namf/Nsmf) AMFからのSM NAS/セッション要求の受け渡し(Nsmf_PDUSession 等)
N40 SMF ⇔ CHF SBI(Nchf) 課金(オンライン/オフライン)連携 ※任意/実装・構成依存

N11の扱いについて: AMF⇔SMF間は、3GPPのアーキテクチャ図では参照点として N11 と示されますが、SBA(サービス化)では実体として Namf/Nsmf のSBIサービスでやり取りされます。本サイトではこれを「N11相当(Namf/Nsmf)」と表記します。詳細は Interface辞典 を参照してください。

個別Interfaceページ(N4 / N7 / N40)も参照できます。用語は Interface辞典、PFCP等のプロトコルは Protocol辞典 を参照してください。

Procedure での登場

PDU Session Establishment(PDUセッション確立) では、SMFが手続きの主体になります。おおまかには次のように動きます。

  1. AMFから Nsmf_PDUSession_CreateSMContext でSM NASとセッション要求を受け取る。
  2. UDM(N10) からセッション管理加入データ(許可DNN/S-NSSAI、既定QoS 等)を取得する。
  3. (任意/条件付きで)PCF(N7) から SM Policy(PCC rule / 認可QoS)を取得する。
  4. UEのIPアドレスを割り当てUPFを選択(UPF selection)する。
  5. N4(PFCP)でUPFに転送規則(PDR/FAR/QER)を設定する。
  6. AMF経由でUEへ PDU Session Establishment Accept を返し、gNB側のU-Planeリソース設定を促す。
  7. gNB側のN3情報が返ってきたら N4 Modification でUPFへ反映し、ユーザプレーンを疎通させる。

これらの詳細なCall Flow・メッセージIE・QoS Flow・N4/N3の2段確立PDU Session Establishment に集約しています。手順の詳細はそちらを参照してください。

EPCとの比較

  • 4Gでは: セッション管理(ベアラ制御)は主に PGW-C / SGW-C が担い、その一部の制御は MME も担っていました。転送は PGW-U / SGW-U が担当し、両者の分離(CUPS)は後付けのオプション(Sxインターフェース)として導入されました。
  • 5Gでは: セッション管理の制御機能を SMF に集約し、アクセス/モビリティ管理のAMFとは明確に分離しました。さらに転送は UPF に分離し、その間を N4(PFCP) で結ぶ CUPSを最初から標準アーキテクチャとしています。これにより制御と転送を独立にスケールできます。
4G (EPC) 5G (5GC)
PGW-C / SGW-C(セッション管理・制御部) SMF
MME(セッション管理の一部) SMF(一部)/ AMF(モビリティ側)
PGW-U / SGW-U(転送部) UPF
Sx(PGW-C/U 分離、後付けオプション) N4(PFCP、標準化)

CUPSは5Gで標準化された

4Gでも後期にCUPS(PGW-C/PGW-U + Sxインターフェース)が導入されましたが、5Gでは最初から SMF/UPF 分離が標準アーキテクチャであり、その制御インターフェースが N4(PFCP) です。SMFはこの「制御側」を専任するNFとして設計されています。

Release差分

  • Rel-15: SMFの基本機能(PDUセッション管理、SM NAS終端、UPF選択・N4(PFCP)制御、IPアドレス割当、PCF連携)を規定。
  • Rel-16: 機能拡張(例: TSC(時間高精度通信)・Ethernet PDU・I-SMF(Intermediate SMF)導入 等)。具体的な章番号・織り込み範囲は要確認
  • Rel-17: さらなる拡張。具体項目・章番号は要確認

Release差分は要確認

各Releaseで「SMFの機能」にどの拡張がどこまで織り込まれたかは、対象TSの版差分を個別に確認する必要があります。上記は概観であり、具体項目は要確認です。

3GPP Specification

Spec 内容
TS 23.501 §6.2.2 SMFの機能定義(Network Function の役割)
TS 23.502 §4.3.2.2 PDU Session Establishment 等の手続きでのSMFの動作(章番号は版により変動、要確認)
TS 29.502 Nsmf サービス(PDUSession のAPI)。個別章番号は要確認
TS 29.244 PFCP(N4のセッション制御、PDR/FAR/QER 等)。個別章番号は要確認
TS 32.290 系 課金アーキテクチャ(Nchf/N40 連携)。SMFの課金関連の扱いは実装/構成依存であり要確認

章番号・課金(N40)の扱い

TS 23.501 §6.2.2(SMFの機能定義)は ETSI 公開版(Rel-17)で確定した節番号です。TS 29.502 / TS 29.244 の個別章番号は版により異なる場合があり要確認とします。SMFのオンライン/オフライン課金連携(Nchf/N40)は構成により有無・経路が変わる実装/構成依存の要素です。

Summary

  • SMFはPDUセッションのライフサイクル(確立・変更・解放)を管理する制御プレーンのNF。
  • SM NAS(5GSM)を終端し、UPFを選択して N4(PFCP) で制御する CUPSの制御側(頭脳)。転送はUPF(土管)に委ねる。
  • 役割の要は、UPF制御・IPアドレス割当・QoS/課金ポリシー(PCC)適用(PCF連携)。
  • 終端Interfaceは N4(UPF)・N7(PCF)・N10(UDM)・N11相当(AMF)。課金(N40/CHF)は任意/実装依存。
  • 4GのPGW-C/SGW-C(+MMEの一部)に相当し、転送をUPFへ分離してCUPSを標準化した。
  • PDUセッション確立手順でSMFが主役。詳細な手順は PDU Session Establishment を参照

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