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N15 — AMF ⇔ PCF(Npcf_AMPolicyControl 参照点)

難易度: 中級 / 想定学習時間: 15分 / 接続点: AMF ⇔ PCF / Protocol: HTTP/2 + JSON (SBI) / 関連Interface: N7, N5, N8

学習目標

このページを読み終えると、次のことができるようになります。

  • N15が SBI(Service Based Interface) であり、N2(NGAP/SCTP)やN4(PFCP/UDP)とはProtocol/Transportが根本的に異なることを説明できる。
  • N15の実体がPCFの提供するサービス Npcf_AMPolicyControl(TS 29.507) であることを説明できる。
  • AMFが AM Policy Association を確立して アクセス&モビリティ関連ポリシー(RFSP、サービスエリア制限、移動制限 等)を取得する流れを説明できる。
  • N7がSM(セッション管理)側ポリシーなら、N15はMM(モビリティ管理)側ポリシーという役割分担を説明できる。
  • 「参照点N15」と「サービスNpcf_AMPolicyControl」が同じものの2つの見方であることを説明できる。

前提知識

先に以下を理解しておくとスムーズです。

  • SBA / SBI と HTTP/2・TLS の位置づけ → Protocol辞典
  • N15の両端のNF → AMF / PCF
  • SM側ポリシー(PCC rule)との対比 → N7
  • アクセス&モビリティ制御(移動制限・RFSP等)が効いてくる文脈 → Registration
  • Interfaceと参照点の考え方 → Interface辞典

Why — なぜ必要なのか

AMFはUEの登録・モビリティを管理する際、「この加入者はどのエリアで通信を許すか(サービスエリア制限)」「どのRAT/周波数を優先させるか(RFSP)」「移動をどこまで許容するか(移動制限)」を決めなければなりません。しかしこれらをAMF自身が勝手に決めると、事業者のアクセス&モビリティ規約(このプランはこの地域だけ、この端末はこの周波数優先 等)を変えるたびにAMFを直す羽目になります。

そこで、事業者ポリシーの元締めである PCF に「この加入者のモビリティ・アクセスはどう扱う?」と問い合わせる道が要ります。これがN15です。AMFはN15でPCFに問い合わせ、PCFは加入者データ(UDR由来)や事業者規約から判断した アクセス&モビリティポリシー を返します。N15が無ければ(またはPCF連携しなければ)、AMFは静的な既定値でしかモビリティを扱えず、加入者ごとのきめ細かい動的なアクセス&モビリティ制御ができません。

例え話: N15は、移動管理の受付担当(AMF)が規約部門(PCF)に判断を仰ぐ専用回線です。受付は勝手に規約を決めず、この回線で「この客の移動制限・優先周波数は?」と問い合わせ、規約部門の回答に従って登録を進めます。N7がセッション担当(SMF)用の回線なら、N15はモビリティ担当(AMF)用の回線、というイメージです。

Overview — 概要

N15は AMF ⇔ PCF を結ぶ参照点です。ただしN15はSBI(Service Based Interface)である点が、N2(NGAP/SCTP)やN4(PFCP/UDP)と決定的に異なります。SBIとはNF同士がWeb API(HTTP)でサービスを呼び合う仕組みで、共通の転送として HTTP/2 + JSON(RESTful)over TLS を用います。

N15の実体は、PCFが提供するサービス Npcf_AMPolicyControl(TS 29.507) です。AMFはこのサービスを呼び出して AM Policy Association(アクセス&モビリティポリシーの結び付き)を確立し、認可された アクセス&モビリティ関連ポリシー(RFSP、サービスエリア制限、移動制限、UE-AMBR関連 等)を取得します。

N7がSM側ポリシーなら、N15はMM側ポリシー

5Gのポリシー参照点は、扱う対象で2系統に分かれます。N7(SMF⇔PCF, Npcf_SMPolicyControl)SM(セッション管理)側のポリシー=PCC rule(QoS・課金・ゲーティング)を扱います。一方 N15(AMF⇔PCF, Npcf_AMPolicyControl)MM(モビリティ管理)側のポリシー=アクセス&モビリティ制御(RFSP・移動制限 等)を扱います。両者は「PCFへポリシーを問い合わせるSBI」という点では同じ作法ですが、SM担当のN7とMM担当のN15という役割分担で対になっています。

参照点N15とサービスNpcf_AMPolicyControlは同じものの2つの見方

3GPPのアーキテクチャ図では 参照点として N15(AMF⇔PCF) が示されますが、SBA(サービス化)ではこれが実体として PCFのサービス Npcf_AMPolicyControl として実装されます。つまり「N15」と「Npcf_AMPolicyControl」は、同じAMF⇔PCF間の連携を、参照点の視点/サービスの視点で見たものです。どちらも指しているものは同一で、呼び方(視点)が違うだけ、と捉えてください。

Basic Concept — 初心者向け説明

N15を、移動管理受付と規約部門の問い合わせに例えます。

あなたのスマホがネットワークに登録しようとすると、モビリティ担当のAMFが動きます。AMFは「この客はどのエリアで通信を許す? どの周波数を優先させる? どこまで移動を許容する?」を自分では決めず、規約部門のPCFに問い合わせます(AM Policy Association の確立)。PCFは会員名簿(加入者データ)と会社の規約を照らし合わせ、アクセス&モビリティポリシー(RFSP・サービスエリア制限・移動制限 等の指示)を返します。AMFはこの指示どおりに、UEの登録や移動制御を進めます。

このPCFへの問い合わせは、専用の電話回線(N2やN4のような専用プロトコル)ではなく、社内Webシステム(HTTP)でリクエストを投げて回答をもらうイメージです。これが SBI(Service Based Interface)=NF同士がWeb API(HTTP/2)で会話する仕組みです。要求も応答も、人間に読みやすい JSON という書式でやり取りされます。

このWeb APIでは、操作対象(AM Policy Associationなどのリソース)に「住所(URI)」を与え、そこにPOSTなどのHTTP操作を投げて作成・更新・削除します。この作法をRESTfulと呼びます。

Protocol / Transport

項目 内容
Protocol HTTP/2 + JSON(RESTful)— SBI(Service Based Interface)の共通スタック
サービス Npcf_AMPolicyControl(PCFが提供)— TS 29.507
SBI framework TS 29.500 / TS 29.501 系(SBIの共通規約・OpenAPI定義)
下位Transport TCP、TLS で保護(機密性・完全性・認証)— TS 33.501
ポート SBIの待受ポートは実装依存(NRF登録のエンドポイントで解決)。特定番号は断定しない
特徴 専用L4プロトコルではなくWeb技術ベース。HTTPメソッド(POST/PUT/DELETE)+リソースURIで操作。RESTful

N2/N4のような専用L4ではなくWeb技術ベース

N2は NGAP over SCTP:38412、N4は PFCP over UDP という専用の下位プロトコルを持ちますが、N15にはそれらは一切当てはまりません。N15はSBIなので、他のSBI(N7/N8/N10/N11 等)と同じく HTTP/2 over TLS を共通の土台として使います。したがってN15の解析にSCTP固有のフィルタやポート番号、PFCPを流用してはいけません。

Architecture

N15がAMFとPCFを結び、SM側のN7(SMF⇔PCF)と対になり、PCFがNudrで加入者ポリシーをUDRから取り出す文脈を示します。

flowchart LR
  AMF["AMF (MM)"]
  PCF["PCF"]
  SMF["SMF (SM)"]
  UDR[("UDR (ポリシーデータ)")]

  AMF == "N15 (Npcf_AMPolicyControl)" ==> PCF
  SMF -. "N7 (Npcf_SMPolicyControl)" .-> PCF
  PCF -. "Nudr (ポリシー取得)" .-> UDR

  classDef ctrl fill:#efe,stroke:#3a3,stroke-width:2px;
  class AMF,PCF ctrl;

図の読み方: 太い線(==>)のN15がAMF⇔PCFのポリシー問い合わせ(SBI/HTTP2)で、MM(モビリティ管理)側のアクセス&モビリティポリシーを扱います。破線のN7はSMF⇔PCFでSM(セッション管理)側のPCC ruleを扱います。PCFはNudrで加入者ポリシーをUDRから取り出し、両方の問い合わせに答えます。N15=MMポリシー、N7=SMポリシーという役割分担に注目してください。

利用Procedure

N15は Registration(登録) のライフサイクルの中で、AMFがPCFへアクセス&モビリティポリシーを問い合わせる際に使われます。

  • AM Policy Association Establishment(確立): Registration中、AMFがPCFへ Npcf_AMPolicyControl_Create で問い合わせ、アクセス&モビリティポリシー(RFSP・サービスエリア制限・移動制限 等)を取得する。取得したポリシーに基づき、AMFはUEの移動制御や登録処理を進める。
  • AM Policy Association Modification(変更): ポリシーが変わる場合(AMF起因の更新、またはPCFからの通知)に、Update / UpdateNotify でポリシーを更新する。
  • AM Policy Association Termination(解放): UEの登録解除等で、AM Policy Associationを終了する。

このPCF連携は任意/条件付きで、動的なアクセス&モビリティポリシー構成のときに行われます。PCFと連携しない構成では、AMFの既定ポリシーで処理が継続されます(構成依存)。

手順の詳細な流れ(メッセージシーケンス、条件、IE等)は Registration の記述に集約されています。手順の細部はそちらを参照してください(細部は要確認)。

主なMessage

N15はSBIなので、メッセージはHTTPメソッド + リソース操作の形を取ります(NGAPのようなprocedureCodeではなくRESTful操作)。代表的なサービスオペレーションは次のとおりです。

サービスオペレーション HTTP操作(概念例) 用途
Npcf_AMPolicyControl_Create POST(リソース生成) AM Policy Association確立、アクセス&モビリティポリシー取得
Npcf_AMPolicyControl_Update POST(更新オペレーション呼び出し) AMF起因のポリシー更新要求
Npcf_AMPolicyControl_UpdateNotify POST(PCF→AMFへ通知callback) PCFからAMFへのポリシー変更通知
Npcf_AMPolicyControl_Delete DELETE(リソース削除) AM Policy Association解放

HTTP操作の対応は概念整理です: 上表の「HTTP操作」は理解のための対応づけであり、各オペレーションの正確なメソッド・リソースURI・呼び出し方向はTS 29.507のOpenAPI定義に従います。厳密なメソッド割り当ては要確認とします。各メッセージの詳細は Message辞典 を参照してください。

Packet Analysis (Wireshark)

N15はSBIなので、キャプチャ上は HTTP/2 として観測されます(NGAP/SCTPのようなL4専用プロトコルは現れません)。

目的 Display Filter
HTTP/2メッセージを抽出 http2
ヘッダのパスで絞る(概念) http2.headers.path:pathnpcf-am-policy-control を含む。正確な文字列は要確認
JSONボディを見る json(復号後)

Decodeの見どころ:

  • N15は TLSで暗号化されます。中身(HTTP/2ヘッダやJSONボディ)を見るには復号鍵(TLSセッションキー等)が必要です。鍵が無ければ tls の暗号化ペイロードとしてしか見えません。
  • 復号できれば、HTTP/2の ヘッダ:method = POST等、:path に AMPolicyControl のリソースパスを含む)でオペレーションを識別できます(正確なパス文字列は要確認)。
  • ボディは JSON(RFSP・サービスエリア制限・移動制限等のポリシー情報)で、人間に読みやすい構造で入っています。具体的なポリシー値の形式は要確認です。
  • N2のNGAP(バイナリ、SCTP上)と違い、N15はWeb的(HTTP/JSON)である点が観察の要です。SCTP固有のフィルタ(sctp.port 等)やPFCPは使いません

EPCとの比較

  • 4Gでは: アクセス&モビリティに関わる制御(在圏管理・移動制御・RAT/周波数選択優先度 等)は主に MME の内部機能として実現され、PCRFは主にゲートウェイ側(SM/課金)のポリシー(Gx等)を担っていました。そのため、MM側ポリシーを独立した参照点として明確に外出しする形は薄かった(詳細は要確認)。
  • 5Gでは: PCF がSM側(N7)とMM側(N15)の両方のポリシーを統括し、アクセス&モビリティポリシーを独立の参照点 N15(Npcf_AMPolicyControl)として持つ構成になりました。MM側ポリシーをSBIで動的に取得できる点が5Gの特徴です。
4G (EPC) 5G (5GC)
移動制御はMME内包(明確なAMポリシー参照点は薄い, 要確認) N15(AMF ⇔ PCF)
—(専用の参照点として明確でない, 要確認) SBI: HTTP/2 + JSON over TLS
—(要確認) TS 29.507(Npcf_AMPolicyControl)
MME(アクセス&モビリティ制御を内包) PCF(AMポリシーを提供)/ AMF(取得・適用)

MM側ポリシーを独立参照点として持つのは5Gの特徴です。 4Gでは移動制御が主にMME内に閉じており、5Gでこれが AMF⇔PCF の N15 としてSBI化・外出しされました。4G側の厳密な対応関係は要確認とします。

3GPP Specification

  • 3GPP TS 29.507 — Npcf_AMPolicyControl サービス(Access and Mobility Policy, N15)。個別章番号は要確認
  • 3GPP TS 29.500 / TS 29.501 — SBI framework(技術規約 / 設計原則・OpenAPI)。個別章番号は要確認
  • 3GPP TS 23.503 — ポリシー・課金制御フレームワーク(アクセス&モビリティポリシーのポリシーモデルを含む)
  • 3GPP TS 23.501 §4 — システムアーキテクチャと参照点(N15の定義)
  • 3GPP TS 33.501 — SBIのセキュリティ(TLS等)。個別章番号は要確認

注記(要確認): N15の実体が Npcf_AMPolicyControl(TS 29.507)であること、SBI共通framework が TS 29.500/29.501 系であること、参照点N15とサービスNpcfが同じ連携の2つの見方であることは、3GPPアーキテクチャの一般的整理です。各サービスオペレーションの細目章番号・正確なリソースURI・具体的なポリシー値(RFSP値等)の形式は Release により差異があるため個別には要確認とします。

Summary

  • N15は AMF ⇔ PCF を結ぶ参照点だが、SBI(Service Based Interface)である点がN2(NGAP/SCTP)・N4(PFCP/UDP)と根本的に異なる。
  • Protocolは HTTP/2 + JSON(RESTful)over TLS、実体はPCFのサービス Npcf_AMPolicyControl(TS 29.507)
  • AMFは AM Policy Association を確立し、アクセス&モビリティ関連ポリシー(RFSP・サービスエリア制限・移動制限 等)を取得して、UEの登録・移動制御に適用する。
  • N7がSM(セッション管理)側ポリシーなら、N15はMM(モビリティ管理)側ポリシー。両者は対でPCFがまとめて統括する。
  • 参照点N15 = サービスNpcf_AMPolicyControl は同じAMF⇔PCF連携の2つの見方。MM側ポリシーを独立参照点として持つのは5Gの特徴(4G側の対応は要確認)。

Next Step

  • PCF — N15の相手側。アクセス&モビリティ/SMポリシーの中枢
  • AMF — N15を利用してアクセス&モビリティポリシーを取得し、登録・移動制御に適用するNF
  • N7 — SM側ポリシー(PCC rule)を扱う対の参照点
  • Registration — AM Policy Association確立の手順(詳細)
  • Interface辞典 — N7・N5・N8 ほか参照点の確認