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UDM — Unified Data Management

難易度: 中級 / 想定学習時間: 15分 / 関連NF: AMF, SMF, AUSF, UDR / 関連Interface: N8, N10, N13, Nudr

学習目標

このページを読み終えると、次のことができるようになります。

  • UDMが5GCで果たす役割(加入者データ管理のフロントエンド)を一言で説明できる。
  • UDM・UDRの分担(フロントエンドとデータ格納)を説明できる。
  • Registration手続きの中でUDMがどう登場するかを図示できる。
  • 4G(EPC)のHSSとの対応関係(データ格納をUDR、認証をAUSFへ分離)を説明できる。

前提知識

先に以下を理解しておくとスムーズです。

  • SBA(Service Based Architecture)とNFの基礎 → カリキュラム
  • SUPIなど加入者識別子の考え方 → Message辞典
  • AMF/AUSFの役割(UDMを利用する側) → AMF / AUSF

この章で学べること

Why(UDMが無いと何が困るか)から入り、What(役割・保持情報・API)を表とMermaid図で整理し、How(Registrationでの登場、EPC比較、参照Spec)へ進みます。

Why — なぜ必要なのか

ネットワークは「この契約者は誰で、どんなプランで、どのサービスを使えるのか」という加入者情報を知らなければ、認証もサービス提供もできません。この加入者情報へのアクセスを取りまとめて各NFへ提供する窓口が必要です。これがUDMです。

UDMが無いと、AUSF(認証)は認証情報を取得できず、AMF/SMFは加入者のプロファイルを参照できません。つまり登録もセッション確立も成立しません。UDMは加入者データのフロントエンド(窓口役)で、実データそのものはUDR(データ倉庫)に保管し、UDMがそれを取り出して提供します。

例え話: UDMは会社の人事窓口です。各部署(AMF/SMF/AUSF)が「この社員の情報が欲しい」と問い合わせると、人事窓口が名簿保管庫(UDR)から該当データを取り出して渡します。窓口と保管庫を分けることで、窓口の増設と保管庫の一元管理を両立できます。

Overview — 概要

UDM(Unified Data Management)は、加入者データ管理のフロントエンドです。認証情報の生成(ARPFが担う。後述)、加入者情報の提供(SDM)、UEコンテキストの登録管理(UECM)を担います。永続データの実体はUDR(Unified Data Repository)に格納され、UDMは論理的にそれを管理・提供します。AUSF・AMF・SMFなど多くのNFがUDMを利用します。

なお ARPF(Authentication credential Repository and Processing Function)はUDMに論理的に属し、加入者の永続鍵などの認証情報を保持・生成する機能です(実装によりUDR近傍に配置される場合あり=実装依存)。これは4GのHSS内 AuC(Authentication Centre)に相当します。

Basic Concept — 初心者向け説明

UDMは図書館のカウンター(司書)に例えられます。利用者(AUSF/AMF/SMF)が「この資料が欲しい」と頼むと、司書(UDM)が書庫(UDR)から本(加入者データ)を探して渡します。司書は本を自分の机に山積みにせず、必要なときに書庫から出す運用です。これにより「探して渡す役(UDM)」と「保管する役(UDR)」がきれいに分かれます。

Network Function 詳細

項目 内容
役割 加入者データ管理のフロントエンド。認証情報の生成(ARPFがUDMに論理的に属して担う)、加入者情報の提供(SDM)、UEコンテキスト登録管理(UECM)。実データはUDRに格納
保持情報 論理的に加入者データを管理(永続データの格納はUDR)。SUPIに紐づく加入・認証データ
利用する主なAPI(他NFへ呼ぶ) Nudr(DataRepository)— UDRからデータ取得
提供するAPI(自分が公開) Nudm(UECM, SDM, UEAU, EE 等)— 3GPP TS 29.503
関連Interface N8(AMF), N10(SMF), N13(AUSF), UDRとの間(Nudr)
障害時の影響 認証情報・加入者情報が取得できず、登録・セッションが不可となる

Architecture

UDMは加入者データの窓口として複数NFから利用され、背後のUDRからデータを取り出します。

flowchart LR
  AMF["AMF"]
  AUSF["AUSF"]
  SMF["SMF"]
  UDM["UDM"]
  UDR[("UDR (データ格納)")]

  AMF -- "N8 (Nudm)" --> UDM
  AUSF -- "N13 (Nudm)" --> UDM
  SMF -- "N10 (Nudm)" --> UDM
  UDM -- "Nudr" --> UDR

図の読み方: AMF・AUSF・SMFはそれぞれN8/N13/N10でUDMのサービス(Nudm)を利用します。UDM自身は永続データを持たず、NudrでUDRから実データを取り出して各NFへ提供します。UDMは「窓口」、UDRは「倉庫」という分業です。

Interface

UDMが終端する主なInterfaceと役割です。

Interface 両端 役割
N8 AMF ⇔ UDM 加入者データ取得・UEコンテキスト登録(UECM/SDM)(Nudm)
N10 SMF ⇔ UDM セッション管理向け加入者データ・UECM(Nudm)
N13 AUSF ⇔ UDM 認証ベクトル生成/取得(UEAU)(Nudm)
Nudr UDM ⇔ UDR 永続的な加入者データの読み書き

Procedure での登場

Registration(初期登録)では、UDMは二段階で登場します。まず認証段階でAUSFがUDM(N13)から認証ベクトルを取得します。次にAMFがUDM(N8)から加入者情報(SDM)を取得し、UEコンテキストの登録(UECM)を行います。UDMはこれらの要求に対しUDR(Nudr)から実データを取り出して応答します。

詳しい流れは Registration を参照してください。

EPCとの比較

  • 4Gでは: HSS(Home Subscriber Server)が、加入者データの保管・認証ベクトル生成・加入者プロファイル提供を一体で担っていました。
  • 5Gでは: HSSの役割をUDM(フロントエンド)+UDR(データ格納)+AUSF(認証サーバ)に分割しました。データの格納と提供、認証を分離することで、スケーラビリティと責務の明確化を実現しています。
4G (EPC) 5G (5GC)
HSS(加入者データ提供部) UDM
HSS(データ格納部) UDR
HSS内 AuC(Authentication Centre / 認証ベクトル生成) ARPF(UDMに論理的に属する) + AUSF(サーバ側)

Release差分

  • Rel-15: UDMの基本機能(SDM, UECM, UEAU, EE, UDRとの分離構造)を規定。
  • Rel-16: 機能拡張の有無・章番号は要確認
  • Rel-17: 機能拡張の有無・章番号は要確認

3GPP Specification

  • 3GPP TS 23.501 §6.2.7 — UDMの機能定義(Network Function の役割)
  • 3GPP TS 29.503 — Nudm サービス(UECM / SDM / UEAU / EE)。個別章番号は要確認
  • 3GPP TS 33.501 — 認証情報生成(ARPF等)に関わる規定。個別章番号は要確認

Summary

  • UDMは加入者データ管理のフロントエンド(窓口)NF。
  • 認証情報の生成(ARPF)、加入者情報(SDM)、UEコンテキスト登録(UECM)を提供する。
  • 永続データの実体はUDRに格納し、UDMはNudrでそれを取り出して提供する。
  • 終端Interfaceは N8(AMF)・N10(SMF)・N13(AUSF)・Nudr(UDR)。
  • 4GのHSSに相当し、データ格納をUDR、認証をAUSFへ分離した構造になっている。

Next Step

  • AUSF — UDMから認証ベクトルを取得する相手
  • AMF — UDMから加入者情報を取得する相手
  • Registration — UDMが認証・加入者情報取得で登場する手続き
  • NF辞典 / Interface辞典 — 用語の確認